悲劇

ジュリアス・シーザー

ジュリアス・シーザー

英雄が暗殺される 暗殺者たちは民衆によって破滅に追い込まれていく

登場人物

  • ジュリアス・シーザーローマの将軍
  • マーカス・ブルータス暗殺者の一人
  • ケイアス・キャシアス暗殺の首謀者
  • ポーシャブルータスの妻
  • ルパーニアシーザーの妻
  • マーク・アントニーシーザーの腹心
  • オクテイヴィアス・シーザーシーザーの養子
  • レピダス政務官
  • ピンダラスキャシアスの奴隷
  • ティティニアスキャシアスの親友
  • ルーシリアスブルータスの部下
  • ストレイトーブルータスの召使い

物語

 紀元前46年夏、ローマの将軍ジュリアス・シーザー(ラテン語 ガイウス・ユリウス・カエサル)はポンペイウスとの戦いに勝利して、市民からの絶大な人気を得る。独裁官に選出されたシーザーは、統治能力強化のために共和政から帝政へと改革しようとする。権力の集中を恐れたケイアス・キャシアス(ガイウス・カッシウス・ロンギヌス)は暗殺計画を企て、マーカス・ブルータス(マルクス・ユニウス・ブルトゥス)も誘う。  ブルータスはシーザーに世話になり、信頼される間柄だったため、妻ポーシャ(ポルキア・カトニス)に心配されるほど悩むが、共和制を守るためと説得された末、計画に加わることを決意する。  暗殺が行われたのは紀元前44年3月15日だった。シーザーの妻カルパーニア(カルプルニア)は前夜に悪夢をみたことで、シーザーに元老院へ行かないよう訴えるが、暗殺者たちに巧みに誘いにかけられシーザーは登院する。そして広場で暗殺者たちに取り囲まれる。殺される際、暗殺者たちの中にブルータスを見つけたシーザーは「お前もか、ブルータス」と言う。  シーザーの死について、ブルータスは市民へローマのためだったと説明し支持を得たように思われた。しかしシーザーの腹心アントニーが追悼演説で、ブルータスを非難しないという指示を守りながらも、シーザーがいかに市民を想っていたかを巧みに伝える。市民の心はブルータスから離れ、暴動へと発展していき、ブルータスとキャシアスは逃亡せざるを得なくなる。  ローマでは、アントニーと、シーザーの養子オクテイヴィアス(オクタウィアヌス)、そしてレピダス(レピドゥス)が、三頭政治を行い権力を握り、暗殺者たちを掃討すべく動く。  そんな中、ブルータスの妻ポーシャが自害する。ブルータスはキャシアスと言い争いをしながらも、やがて二人は、フィリパイでの会戦を決意する。しかし会戦にてキャシアスは奴隷ピンダラスに、親友ティティニアスが捕らえられたと騙され、死ぬことを決意する。駆けつけたティティニアスは友の遺体を目にし、自害する。  ブルータスの影武者として、彼の部下ルーシリアスも捕らえられる。ブルータスは捕らえられる前に、召使いストレイトーに剣を握らせ、その剣へ身を投げることで自ら命を落とす。アントニーはブルータスの最後に対し、「彼こそ最も高潔なローマ人」と言い、オクテイヴィアスも手厚く葬ることを望む。

賽は投げられた。(シーザー)

――The die is cast.

ブルータス、お前もか。(シーザー)

――Et tu, Brute?

何事にも潮時というものがある。うまく満ち潮に乗れば成功するが、その期を逃すと一生の航海が浅瀬につかまり悲惨なものとなる。(ブルータス)

――There is a tide in the affairs of men Which, taken at the flood, leads on to fortune; Omitted, all the voyage of their life Is bound in shallows and in miseries.

タイタス・アンドロニカス

タイタス・アンドロニカス

血で血を洗う 始まりは息子を殺されたことから 復讐が連鎖していく

登場人物

  • タイタス・アンドロニカス古代ローマの将軍
  • タモーラゴート族の女王
  • サターナイナス新皇帝 故ローマ皇帝の息子
  • ラヴィニアタイタスの娘
  • バシエーナスサターナイナスの弟 ラヴィニアの許嫁
  • アーロンムーア人 タモーラの愛人
  • カイロンタモーラの次男
  • ディミートリアスタモーラの三男
  • マーカス護民官 タイタスの弟
  • ルーシャスタイタスの長男 国外追放されていた

物語

 古代ローマの勇猛な将軍タイタス・アンドロニカスは、ゴート族との戦いに勝利し、女王タモーラとその三人の息子を捕虜として祖国へ連れてくる。タイタスは25人の息子のうち21人を戦で亡くし、その弔いに、タモーラの嘆願も聞かず、ゴート族の王子である彼女の長男を生贄として惨殺した。  ローマではちょうど皇帝が亡くなり、新皇帝サターナイナスが即位した時だった。タイタスの推挙で皇帝となったサターナイナスは、お礼としてタイタスの娘ラヴィニアを妃としようとしたが、ラヴィニアは弟バシエーナスとすでに愛し合っていた。タイタスの息子たちはサターナイナスとの結婚に反対し、侮辱を感じたサターナイナスは、敵であったタモーラを妃とする。  タイタスは信じられない思いだったが、タモーラとの立場は逆転した。長男を生贄にされた報復として、タモーラは愛人アーロンの助けも得ながら、残る二人の息子カイロンとディミートリアスにバシエーナスを殺させ、ラヴィニアも襲わせる。犯人を明かせぬようラヴィニアは両手を斬り落とされ、舌も抜かれる。さらにタモーラはこれらの罪をタイタスの息子二人に着せて捕らえる。  タイタスが子たちの惨状に嘆く中、アーロンが息子たちを返す条件として、タイタス一族の誰かの手を切り落とすことを提示する。タイタスの弟マーカスが要求を呑もうとするが、タイタスが自らの手を切り落とすことにする。しかし約束と違い、返ってきたのは息子たちの生首だった。  ラヴィニアが口に棒をくわえて書いて明かした真実から、タイタスは復讐を決意する。タモーラの息子カイロンとディミートリアスを殺し、その肉で作ったパイをタモーラと皇帝サターナイナスに食べさせ、そしてタモーラも殺害する。サターナイナスはすぐにタイタスを斬り殺したが、国外追放されていたタイタスの長男ルーシャスがゴート族を味方につけ進軍し、サターナイナスを倒す。アーロンも死刑となり、新たな皇帝としてルーシャスが選ばれる。

神々の心に近づこうというのですか? ならばまず慈悲をお示しください。(タモーラ)

――Wilt thou draw near the nature of the gods? Draw near them then in being merciful.

こいつらの口をふさげ、私に話しかけさせるな。(タイタス)

――Sirs, stop their mouths, let them not speak to me.

ロミオとジュリエット

ロミオとジュリエット

家同士が敵対する二人が恋に落ちるが、行き違いにより哀しい最期を迎える

登場人物

  • ロミオモンタギュー家の一人息子
  • ジュリエットキャピュレット家の一人娘
  • マキューシオロミオの親友
  • ベンヴォーリオロミオのいとこ
  • エスカラスヴェローナ公爵
  • ロレンスヴェローナの修道士
  • ティボルトジュリエットのいとこ
  • パリス伯爵ジュリエットへの求婚者
  • ロザラインロミオの片思い相手

物語

 イタリアの都市ヴェローナにある名家モンタギュー家の息子ロミオは、ロザラインという美しい娘への片思いに悩んでいたが、いとこのベンヴォーリオから他の美女にも目を向けろと忠告される。ロザラインがモンタギュー家と敵対するキャピュレット家の夜会に参加すると知ったロミオは、ベンヴォーリオおよび親友マキューシオとともに、仮面をつけて夜会へ忍び込むことにする。  夜会は、キャピュレット家の十三歳の一人娘ジュリエットの結婚に関するもので、結婚相手にと考えるパリス伯爵の披露のために開かれたものだった。しかしこの夜会で、ロミオとジュリエットは運命的な恋に落ちる。  翌日、ロミオは修道士ロレンスにジュリエットとの結婚式を依頼する。二つの名家は、ヴェローナ公爵エスカラスが禁止しても争いをやめようとしない抗争関係だ。ロレンスは、ロミオとジュリエットの存在が両家の仲の改善に繋がるかもしれないと考え、二人を密かに結婚させる。  挙式後、しかしロミオは道でジュリエットのいとこティボルトに喧嘩をふっかけられる。ジュリエットのために取り合わないロミオに代わり、マキューシオが喧嘩を買う。剣で斬り合う二人をを止めに入ったロミオだが、マキューシオが刺されて命を落としてしまう。ロミオは動揺のまま思わずティボルトを殺す。エスカラスに街からの追放を言い渡されたロミオは、その夜、ジュリエットと夫婦の時を過ごし、翌朝未明、マントヴァへ発つ。  ロミオがいなくなり哀しみに暮れるジュリエットは、父にパリス伯爵との再婚を三日後に強いられる。ロレンスに相談へ行ったジュリエットに、一時的に仮死となる薬をロレンスは渡し、死んだことにした後にロミオと国外へ逃げろと言う。  しかし計画についての手紙がロミオへ上手く届かなかった。自死を装ったジュリエットが本当に死んだと思い込んだロミオは、キュピレット家の霊廟で眠るジュリエットを前に、毒を服し、自殺する。目覚めたジュリエットもロミオの剣で後を追う。翌朝、両家は二人の死を嘆き、諍いをやめることを誓い合う。

名前がなんだというの? バラはほかの名前で呼んだって、甘い香りは変わらない。(ジュリエット)

――What's in a name? That which we call a rose By any other word would smell as sweet.

ほどほどに愛しなさい。長続きする愛とはそういうものだ。(ロレンス)

――Therefore love moderately. Long love doth so.

私のロミオをください。私が死んだら、彼を連れていって小さな星に切り分けてください。そうすれば空は美しく輝き、世界中の人が夜に恋をして、ぎらぎら光る太陽より好きになる。(ジュリエット)

――Give me my Romeo, and when I shall die, Take him and cut him out in little stars, And he will make the face of heaven so fine That all the world will be in love with night And pay no worship to the garish sun.

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